2012年04月18日
消費税増税の影でちゃっかり引き上げられる、あの税金とは?
年度末ぎりぎりに、政府が消費税率引き上げ関連法案を閣議決定し、国会に提出した。「社会保障と税の一体改革」の一環として、現在5%の消費税率を2014年4月に8%に、15年10月に10%に段階的に引き上げることが柱だ。しかし、消費税以外にも増税の内容が盛り込まれていることをご存じだろうか?
■実は消費税だけじゃない。贈与税や相続税も増税に
消費税の引き上げによる、「住宅」に関する増税の影響は大きい。土地や住宅の家賃は非課税だが、建物価格(※)や仲介手数料、家賃以外の賃料などは消費税の引き上げ分だけ増額となって、消費者を直撃する。
(※消費税納税業者ではない個人が売り主の中古住宅の場合は、消費税がかからない)
ただし、3月30日の閣議決定の際には、法案提出後の検討課題に対する対応として、住宅取得に際しては、駆け込み需要とその反動を考慮して、税負担増の影響を緩和するという方針が明記された。とはいえ、具体的な案は示されず、先送りの形となった。
国会に提出された法案には、消費税率の引き上げに加え、所得税と相続税、贈与税の最高税率を引き上げる内容も盛り込まれている。高所得層や富裕層への課税を強化して、財源を確保することが狙いだ。
住宅取得に関しては、頭金などを親に援助してもらうケースも多く、相続税や贈与税に配慮する必要がある。その税率が引き上げられるというのだから、見逃せない点だ。
もともと平成23年度の税制改正大綱に盛り込まれていた内容で、ねじれ国会の影響もあり、今回の提出となった。
具体的には、高額な贈与や相続に対する最高税率を上げるもので、表のような案になっている。ただし、直系尊属である親や祖父母から20歳以上の子や孫が贈与を受ける場合は、現行より税率を緩和する措置があり、高齢者から現役世代へ資産移転をしやすくしている。
■他人ごとではない。相続税の対象となる人が増える!
最も注視したい点は、相続税の基礎控除の縮小だ。定額控除を現行の5000万円から3000万円に引き下げ、法定相続人ごとに1000万円の控除があったものを600万円に引き下げるもの。相続税の計算は複雑で、増額になるかどうか一概には言えないが、仮に母親と子ども2人の計3人で父親の遺産を相続する場合、現行なら5000万円+1000万円×3人=8000万円の基礎控除があるので、父親の遺産の課税価格が8000万円以下なら相続税がかからなかった。現在は基礎控除が課税価格を上回る人が多いので、全体の4%しか相続税を納めていない。
しかし、法案通り成立すると、基礎控除額は3000万円+600万円×3人=4800万円に引き下げられるので、父親の遺産の課税価格が8000万円なら相続税が発生することになる。
このように、法案成立後は納税対象者が増えることになり、母親については税額軽減による非課税枠が大きいので、納税しなくて済む場合が多いが、子どもの場合は、納税対象者となることで増税となる可能性が出てくるわけです。
このため、「相続時精算課税制度」を利用して親から生前贈与を受ける場合は要注意。相続時精算課税制度とは、65歳以上の親から20歳以上の子への生前贈与について、贈与時には2500万円の非課税枠があるのでその範囲なら贈与税はかからないが、相続する際にその贈与分を相続財産に加えて計算することで精算する制度。「住宅取得資金の場合の特例」があり、その場合は親の年齢制限はなくなる。
相続時精算課税制度を利用して、親から住宅資金を贈与してもらった場合、相続財産として加算されるので、相続税の改正は見逃せないポイントです。
なお、国会に提出された法案には、「相続時精算課税制度」について、親の年齢制限を65歳から60歳以上に引き下げ、20歳以上の子に孫を加える改正内容も付されている。また、贈与税、相続税の改正については、平成27年1月1日以降の贈与、相続に適用される予定だ。
Posted by なおしや たつ家 at 13:40│Comments(0)
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